やっぱり転籍とか失踪とかトラブルなんか起きるハズもない

受入企業向け

​先日、無念の途中帰国の実習生の転出、口座解約、送別会にお付き合いしてきました。

残念ながら、一年目の技能検定に、
学科だけ合格できず、再試も不合格にて、
1年間のみの実習で帰国となった人材です。

今まで同程度の人材は全く問題なくパスしてきたけど、
この人材だけ、不合格。

想定される理由は二つ。

1つ目、学科で試験官の忖度が無くなったらしい。

サンプル試験問題を見ても、とてもN4レベルが理解しおおせる質問文の表現ではありません。
(ひらがなで書いてるだけで、決して「優しい日本語」ではない)

それでも、入国前の多少なりともの日本語基礎教育と、
日本で、つきっきりで一問一問、説明し、
専門用語の確認、日本語の言い回しや接続詞の意味、
そのうえで質問の全体の意味と理解、
全ては、これらのちょっとした変化形と応用だと。

そんなこんなで、今まで10年以上、30人近い受験者を輩出し、
不合格者なんて出したことなかったのに、
この人材は、再試でも合格できなかった。

2つ目、そもそもがこの人材は想像以上に日本語の勉強が苦手だった

質問内容さえ理解できれば、彼は満点の答えを出せる。
そもそも基本的な技能は全く問題なく習得している。

日本語こそそれほど上手いこと話せないけど、
一年かけてちょっとずつ日本語でも社内で会話ができるようになっていた。

でも、いわゆる読解力、テキストから質問文を読み解く能力については、
苦手で難儀しているようだった。

ちなみに、人間力は人並み以上。
周りに愛され、真面目に取り組む姿に、彼に寄せる信頼は絶大だった。
仕事も丁寧で、指示に従い、結果も出せる人材だった。
会社が今まで受入してきた人材の中でも、間違いなく上位に入る人材だった。

ただただ、日本語のテキスト周りが、苦手だった。
ちなみに、彼と共に受験した同僚は、問題なく合格した。

 
彼は本日、帰国の途に就く。

ここに至るまで、様々な気遣いと会話を積み重ね、
理屈じゃない彼の気持ちにも寄り添い、汲み取り、
それでも、笑顔で帰国を承諾してくれた。

送別会にもご一緒させていただき、
改めて、会社の皆さんとも、一緒に色々と彼の話を聞いた。

 
彼は21才の頃、自分は日本へ働きに行くぞ!って決意したとのこと。

その後、地元の職業教育を受け、カタールへ3年間出稼ぎに行った。
他国で働くことの大変さ、厳しさ…暑さ、言語の違い、
多種類の国籍の方々と共に働く難しさ、などなど、
実体験して契約期間を完遂してきた。
そのうえで、日本の面接機会を得て、見事に見初められ、来日していた。

コロナ過もあって、相当期間、待機を余儀なくされた背景もあったけど、
来日時も来日後も、何の問題もなく、実習を全うしてきた。
来日3カ月後に、祖父が急逝し、一時帰国もあったが、
予定通り、戻ってきて、頑張っていた。

ひとえに、自分は当時決意していた日本に来れたのだから、
頑張ろうって、心から思って実践してくれていた。

 
●日本に来て、どんなことが一番嬉しかったですか?
「日本へ来て、初めて給料がもらえた日です。 」

●日本で働いてみて、どんなことを感じましたか?
「日本は安全で、礼節を重んじて、チームワークを大切にしている…」
「自分は本当に良い会社で働けて良かった…」
「また日本に働きに来たい…」​

広島に友達も働きに来てるけど、
電話で話す際、友達は、いつも不平不満をこぼしている。
その時にいつも、自分は今の会社にいることを誇りに思っている…って言ってる。

※給料は決して高額ではないものの、その不平不満は今までも一切口の端に上がらない。

自分の海外出稼ぎはこれで終わり。(もうすぐ34になる)
でも、もし可能ならば、日本なら、また働きに来たい。

 
ちなみにこの会社。
特定技能の受入はしていない。

でもこれは何も彼に限ったことじゃない。
今まで技能実習を満了して帰国した人材の多くは、
「○○(社名)でもう一度働けませんか?」
って私にまで相談してくる人材は何人もいる。
なんなら、別の会社へ特定技能として再来日し就労していてさえも、
そんなコンタクトをしてくる。

賃金賃金、転職転職、失踪失踪と世間はアホみたいに騒ぐけど、
本質は、ソコじゃない…決してルールなんかじゃない。

そう騒いでいる先こそ、人をカネとしかみていないし、
それで動く人材もまた、自分の価値をカネで売ろうとしている人だけ。

人と人、仁義礼智信じゃないけど、
向き合って、寄り添って、丁寧に接していると、
人はそれこそ、自ら望んで、その会社で働き続けたい…
意識すらすることなく、素直に心からそう願うものだと改めて実感した次第。

手前味噌ながら、受入先だって最初からそうだったワケじゃない。
一緒に苦労を重ね、会話を交わし、今に至ってる。
裏でどれだけフォローしてるか、素直に受入先もわかってる。

大手で、歯車の一つのように機械的に働くよりも、
利益や効率のため、ビジネスライクに切り捨てられるよりも、
中小零細でも、上司や同僚とコミュニケーションを図りながら、
人と人として、実習に取り組む方が、
私はやっぱり好きなんだって思う。

時折、面倒だなって思いながらも、(苦笑)
そのお手伝いをしてきて良かったって、
心からそう思える瞬間は、たくさんあるから。

 
追伸
こういう個別背景がある中で、一律的に、
面接時の人選が、マッチングが悪かったから、そこを直せとか、送り出し機関を変えろとか、
「最後の結果だけ」しか見えないから、周りは好き勝手言います。
(たぶん、諸事情を知らない私も同じことを言ってそうです。苦笑)
でもさ、そうじゃないんだよね、現場って。
もちろん、次の受入や、そもそもの募集段階から、即刻見直しや軌道修正が入りますけども。

追々伸
私、だから試験って嫌いなんですよね。
たかだかその紙ペラ一枚の点数だけで、
人を、人の人生を決めるって。
全肯定、全否定されるって。
私なら、ゴメンです…そんなの受けたくもない。
なによりも、残念な人材なら、受入先は契約を更新しないし、
逆なら試験結果など関係なく、採用を継続するんだから。

ま、いつものごとく、「何もないよりマシ」な仕組みだと頭じゃわかっていますけども。
それでも、ならば、
検定管轄機関は、もっと真剣に受験者の事を考えた試験にしろ!って思いますけどね。

 
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