昨日の続き。
『特定技能関係』
【受入人数上限】
2019年4月から実施。
特定技能1号:在留者数:108,699人(2022年9月末現在、速報値)
5年間の受入れ見込数は、
大きな経済情勢の変化が生じない限り、
特定技能1号の外国人の受入れの上限として運用。
今は2023年、4年目が終わり、5年目に移る時期。
つまりは、来年、2024年の3月末までの上限数は、
今年の有識者会議での大きなポイントの一つになる事でしょうね。
なお、「閣議決定」で上限数は定めることができる…と。
(国会議論などは不要)
【罰則】
届出の不履行や虚偽の届出については罰則の対象
…1件だけ、入管のHPにて公表されていますが、
実は、関連法令違反での受け入れ停止先は、何件も派生しています。
ココ、下部にあるので、お楽しみに…
知らない人が胡坐をかいてるだけってわかりますから。
【復習がてらの基本ポイント各種】
■特定技能雇用契約が満たすべき基準
⑤ 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
→一時帰国を拒む先は、強制労働先として、訴えられたら負けるってコト。
⑦ 外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
→帰国旅費は最終的に負担しなさい…ココも争う場合は負けるってコト。
■受入れ機関自体が満たすべき基準
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
→要は、解雇させたら1年は受入不可になるってコト。
(先日書いたように、解雇でも許容される致し方ないケースはある)
③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
→技能実習のように、失踪原因によっては、実質、受け入れ停止になる。
(転籍、転職なら問題なし)
⑧ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
→ココはグレーが多そうだなあ。
この言葉通りだとすれば、日本語教育や日本人との交流なども、
特定技能外国人に費用負担させてはいけないとなりうるから。
■受入れ機関自体が満たすべき基準(支援体制関係)
② 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
→ココ、ある方からお聞きした内容によると、常勤の通訳を雇用していなくては、
「…体制を有している」とは言えないとのこと。
=企業単独受入では、常勤通訳の自社雇用が必要となり、
無理な先は、登録支援機関などに頼らねばならない。
⑤ 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
→ココ、厳格な運用次第で、怠ったことがないとの立証が求められることになります。
全て、記録を残しておくべきでしょうね。
【分野・ルート別特定技能在留外国人数】
特筆すべきは、介護、航空、宿泊と外食以外、
ほぼほぼ技能実習ルート。
航空はともかく、サービス業系は、元技能実習ルートは少ない。
人員確保に応える場合、
この辺りの現実は、「流れ」でもあるので、
把握しておくべきポイントなのでしょう。
ただ、特に介護は、コロナ禍をはさんでの元就学生の帰国困難者からの資格変更組も多く、
この先、変化が加速する可能性もあります。
宿泊は、わかってかわからいでか、
安さを求めての留学生上がりを直接拾おうとしてるように感じてなりませんけども。
【都道府県別 外国人労働者・特定技能外国人・技能実習生の人数及びその構成比】
ココの推移はとても興味深い。
特に、今の時点ではなく、数年スパンでの変化の傾向を確認したい。
根本的に分母ボリュームの問題もありますけど、
今でも明らかに都会の方が受入人数は多い。
ココ、技能実習も特定技能も変わりなく。
後は、転職可能?な特定技能の大移動が、どんなペースで、どれだけの数字規模で、
表面化してくるのか。
適正に取り組み、現場を知ってる人だけが、その推移を正しく見通せる。
だって、法の流れも、現場の流れも、正しく肌感覚でわかってるから、
軌道修正(微修正)でほぼ済む。
【賃金の支払状況】
月平均支給額
トップ3
1位:建設 285,339円
2位:自動車整備 249,481円
3位:経産省3分野 240,641円
…漁業が意外と低いみたい。
ワースト3
3位:ビルクリ 207,313円
2位:農業 206,096円
1位:宿泊 194,358円
お分かりですかね。
建設と宿泊とでは、約1.5倍の開きがある。
特定技能もまた、出稼ぎ外国人に支えられているとしたならば、
その視点からは、宿泊、農業、ビルクリに好んで進む外国人は、
多くはないと思われる。
つまり、他分野へと転職していく可能性は高い。
【求職における手数料支払のための借金の実態】
○ 特定技能の求職において仲介者(国内外問わない。)を利用していた外国人の割合は95%
○ そのうち、当該仲介者へ支払う手数料を借金で賄っている者の割合は約18%
ココの実態の意味は、考え想定してみたいところ。
まず、特定技能外国人が、
仲介を求めずして、就労先を見つけられるワケがない現実を、
一般大衆は理解できないし想定も及ばない。
この現実が数字で現れていると思われます。
また、仲介者へ自らが借金をしてでも手数料を支払っている外国人が2割もいるということ。
ココは、日本国内での転職斡旋ブローカー(特に同胞ヤクザ系)がいるし、
送り出し国においてもまた、
自身への利益導入に金銭を支払う慣習が否めない部分でもあるのかもしれない。
【行方不明状況】
行方不明者数は76人
2番目に多い「フィリピン」の行方不明者は発生していない。
「農業」や「建設」の割合が高い
ココ、国別、分野別で、率を弾いてみるのも、面白い。
【登録支援機関への支援委託料の支払額】
支援委託料(月額)の平均金額は28,386円で、
全体では30,000円以下で約90%。
○ 採用に利用したマッチング媒体(注3)へは、
「支払っていない」(40.9%)が最も多い。
○ 支払った場合では「10万円以上30万円未満(26.7%)」が最も多い。
注3:仲介業者
支援費は、まだまだその意味合いが理解できていない受入先が多いのでしょうし、
その意味合いをキチンと受入先に理解させられる説明能力のない方が多いのでしょう。
どうあっても、相場的な金額を気にして加味するのが人の常。
周りを見て、自社のコスト感を見て、決めていくのでしょうけども、
理屈で言えば、
1,000も2,000もある対応項目を、どれだけ自社でできるのかどうかに尽きると思われます。
後は、営業マン?支援要員の力次第でしょうね。
ちなみに、マッチング媒体?への支払いにおいては、
正に仲間、チームを作れていない先が、
(まだまだ未成熟な分野もあるから一律で見てはダメなんだけど)
おカネに物言わせてみている結果なのでしょうね。
そういった割合が数字化され現れているんじゃないかな。
【実地調査、行政処分等の状況】
〇 地方入管官署は、特定技能所属機関等の定期的な届出等に基づき、実地調査を実施している。
〇 制度施行後3年間で、特定技能所属機関に対する受入れ停止措置は、14機関、登録支援機関の登録の取消しは7
機関である。
コレ、残念ながら、ほぼほぼ、技能実習制度での行政処分先が、
関連して特定技能でも行政処分扱いとなっているだけ。
以下の処分理由を見ればわかる。
【特定技能所属機関の欠格事由認定の上位3事由】
・実習認定の取消し 8件
・労働関係法令違反 3件
・不法就労助長 2件
【登録支援機関の登録取消しの上位3事由】
・技能実習制度における不正行為 2件
・出入国又は労働関係法令による罰金刑 2件
・偽造文書の提出等 1件
関係省庁の横連携が進む中、
端末叩けば、すべて出てくるので、
どこかの厳罰化が、全てに影響を及ぼすのが今。
ナメてる経営先、アップデートできていない経営先は、
付き従うスタッフを巻き込んで、大変なストレスを被ることになる。
振り回されたくない人は、個々に進化しないと生き残ってはいけない。
【送出国政府への通報状況】
日本→送り出し国 19件
送り出し国→日本 8件
現状ではベトナムとカンボジアへのみ。
日本から送出国政府への通報内容
=どんなことをしてる送り出し機関が悪質と認定されるかどうかのポイント
・送り出し国の法令違反
・高額な手数料徴収
・補償金を含む財産管理
・契約不履行に係る違約金、財産の移転
・監理団体などへの便宜供与など
・妊娠、出産による不利益取り扱い
・悪質なブローカーの介入
・像文書などの作成
など。
送出国における日本からの通報に対する対応状況
①送出機関としての認定を取り消された機関 0機関
②送出国政府による指導等が行われ改善されたと報告があった機関 2機関
③送出国政府による調査の結果、不適切な行為が認められなかったと報告のあった機関 4機関
④送出国政府において調査中の機関 13機関
…ココも順次、アレコレと増えていくんだろうな。
問題は、送り出し国側へは内政干渉の一歩手前で、
日本側からの一方通行の通報でしかないコト。
相手がそれを受けて、何かするかどうかは強制できるはずもない。
以上。
他にも、追加補足資料がありますが、キリがない。
ちゃんと見て現場に活かさないと、
役所も公開している意味がない。
てか、我が身を守るため、
相手を守るためにも、
ちゃんと正しく理解、把握していなくては、
まっすぐ歩き続けられるはずもない。
モラル、常識、人間力…色んなものが問われていますが、
ちゃんと進化適応していける人が、
積み上げ、積み重ねて行ける人が、
自然と生き残っていきます。
ご覧の方の参考になる事を祈って。
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