昨日に続いて、書ききれなかった部分を、
いくつか書いてみましょう。
2022.07.26
「技能実習生の費用負担に関する実態調査(令和4年7月)」を掲載しました。
技能実習生の支払い費用に関する実態調査について(結果の概要)
技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について(詳細)
さて、詳細の方ですね。
まず、この調査、いつもの帰国していく実習生に
郵送返送でアンケート調査したものじゃありません。
入管職員か、機構職員が、
在留中の技能実習生に直接、会って、
記載を依頼し、回収したものになっています。
ココは大きい。
目の前に役所の生殺与奪権限を持つ人に頼まれて、
協力しない実習生はほぼいない。
また、母国語翻訳しての調査なので、
日本語がわからないからと、テキトーに記載しているものではない。
他、書かれていることの転載となるだけなので省きますが、
たかだか13ページ。
落ち着いて読んでみると良いですよ。
図1:「あなたは、来日するために母国の送出機関にお金を支払いましたか?」への回答
フィリピンが圧倒的に少ない。
個人的には、むしろ16%もいたのか?ってくらいの驚き。
ま、中身などちゃんと覚えてもいないケースばかりだと思われ、
そういうものなのかって感じた次第。
表1:送出機関へ支払った費用総額の平均値(国籍別)
他と比べて多いか少ないかの相場観比較のためだけに、平均値は意味があって、
本当は、一人一人に個別に、実際にどの程度のコスト負担があったかが問題。
また、せっかく「n」が全てに明記されてるので、
ココを例にチェックしてみます。
有効アンケート総数から、有効回答数の割合を計算してみると、
こんな感じ。
(ベトナム930名、中国416名、インドネシア324名、フィリピン281名、ミャンマー125名、カンボジア108名)
ベトナム (n=632)/930名=67.95%
中国 (n=277)/416名=66.58%
カンボジア (n=68)/108名=62.96%
ミャンマー (n=80)/125名=64.00%
インドネシア(n=242)/324名=74.69%
フィリピン (n=37)/281名=13.16%
全体 (n=1,336)/2,184名=61.17%
フィリピンがどしてこんなに有効回答数が少ないのかについても、
考えて、アチコチ確認してみるべきでしょうね。
図2:送出機関へ支払った費用の分布(n=1,336)
個人的には、このアンケートの最大の調査結果目的であり、
この分布バランスが一番の活用どころと思われる。
・10万円未満~130万円以上まで幅広く分布しているベトナムと中国。
・ほぼ相場形成され横並びが多いと見えるカンボジアとミャンマー。
・インドネシアは割と低めに推移しているのは、総じて安くしてあげたいけど経営も回るギリギリの線で…って先が多い印象。
=中国流の最弱者の借金で回し、受入先へいい顔をして広げるマネーゲームスキームが浸透しきらなかったイメージ。
・フィリピンだけ、出稼ぎ労働者へは一切の琴線負担をさせない路線を昔から突き進んでいる。
ある程度は承知の上であっても、
この辺りの肌感覚を再調整し、
今を把握しておくことは、とっても大事だと思う。
図3:「そのお金の内訳と名目について、送出機関から説明を受けてわかっていますか?」への回答(n= 1,830)
ココはこんなものなんだって感じ。
かなりの金額を支払っている国では、フツー、日本人なら、
年収の何十倍もの金額を借金してまで支払うならば、
100%、事前に説明を受けてわかったうえでないと支払わないはず。
でもベトナム、中国はなんと3割以上がわかってもいない。
この辺りは、現地で直接何名か聞いてみないと、肌感覚が理解できない部分なのでしょうね。、
図4:「あなたは、来日するために母国の仲介者(送出機関以外の者)にお金を支払いましたか?」への回答(n=2,112)
ココが思ったよりかなり少なかったので、
思わず現地へ確認してみたら、
やはり、送り出し機関の名刺を持った仲介者であったり、
仲介者自身が直接お金をとらず、
送り出し機関からお金をもらっていたりと、
色々と裏があるので、ダイレクトにアンケート結果に反映しなかったらしい。
図6:「あなたは来日するために母国で借金をしましたか?」への回答(n=2,107)
ココは大変興味深い結果となりました。
なんと中国では86%以上もの実習生が、借金をしていない…
つまり、送り出し機関へ支払う多額のお金は、
借金せずに工面して来日しているケースがほとんどといってよい。
なんと様変わりしたことか。
また、手数料がほぼないフィリピンで34%もの人たちが借金をしてくるという事実。
さらに、
インドネシア(54%)やミャンマー(52%)が、これほど多く無借金で来日してくるという事実。
ベトナム(20%)、カンボジア(16%)もの人たちが、
裕福な層で無借金で、実習生として来日しているということ。
他に、給料だって、
中国が高いのはやはりそれだけ出さないと来る意味ないんだろうとか、
インドネシアも高いのは、漁業が多く、漁業はやはり高給なんだろうなとか、
残業代300円とかわけわからん縫製が意外と高いのは、業界全体は頑張ってるんだなあとか、
給料が期待より多いって思わせるために、
色々ミンナ工夫して最初低めで出してる先も多いはずなんだけどなとか。
…書ききれないほど気づくことは山ほどある。
問題は、いつも同じ。
1.こういったアンケート結果を、そもそも知らない。
2.知っても読まない。
3.読んでも理解しない、できない。
そして、
4.自身の現場へ活用しない。
せめて、賃金設定が低い先には、
平均でもこの程度、業界相場でもこの程度なので、
更に今の円安、物価高も反映させると、
これ以上は出さないと良い人材は求められない現実を提示すれば、
賃上げも確率は高まり、
良い人材も集められ、
入国後もトラブルは減らせるものです。
このお仕事、ホントに頭脳労働だと思う瞬間の一つですね。
これらをきちんと自発的に乗り越えていくからこそ、
先進国である日本、日本人なんじゃないかと思うんですが、
求めすぎなんですかね…
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自分で言うのもなんですが、業界人は登録しとくと良いと思います。
SNSやLINEなどもいいんですが、やっぱり個別に届き、残して置けるメール媒体が好きなんです、私。
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