格付け?評価?ランキング?
『いい送り出し機関』とは何をもって示すのか。
どうしても批判的に聞こえてしまう面があることは、
まずもってご容赦願います。
また、こういった取り組み自体に悪気もなく、
逆に業界健全化の足しになればとの思いが溢れていることは、
十分承知しています。
以前、私も同様なご要望を一受入企業の方々から、
ご相談いただきましたし、
取り組むことを真剣に考えたことがあります。
そのうえでの発言(助言)をさせてください。
注:
あるグループ内でご発言されていた内容についてですが、
私の立場でくちばしを挟むことは、出来かねたので、
この場でコメントさせていただきます。
まず、各国の送り出し機関ランキングを試みる行為自体、
決して悪いことではないと思っています。
ただし、ミシュランガイドビジネスとなるような、
そんな面を危惧すべき側面があるように感じてならないのです。
当然ながら、客観的なポイントを整理して、
相対的に比較検討できるように、
一つ一つの評価すべきポイントを絞ります。
その一つ一つが問題です。
この業界の奥深いところです。
例えば、技能実習生の口コミを元にする場合、
裏でお金をもらって評価コメントを作ることができます。
また、実習生によっては、真意を理解できずに、
裏返した批判的なコメントばかり残す輩も実在します。
例えば、送り出し先訪問調査について。
訪問した際に、取り繕われた場面しか見せてもらえないコト程度は、
織り込み済みかと思われますが、
何をもって適切な姿と言えるのかどうかは、
判断が難しいところです。
例えば、実習生の借金の大きさの問題。
これもまた、現実を知れば知るほど、
Aという送り出し機関でいくらか支払ったうえで、
日本行きの機会に巡り合えずに、
Aの借金を抱えたままで、Bの送り出し機関へ移った場合、
この実習生の借金の額は、当然ながら、
他の実習生よりは膨らんでいることでしょう。
また、多額の借金を支払ってまでも、
当事者がそこを選んだ理由として、
日本へ行けるチャンスが多いとか、
日本語教育の仕組みが他と比較しても抜きんでているとか、
口コミ的に知らなかったから、そういうものだと借金したものの、
無事に日本へ行けて、ちゃんと借金を返済したうえでも、
相当な手残りを得られた場合など、
借金は少ないに越したことはありませんが、
だからといって、少なければ全て良しとはなりません。
例えば、常勤駐在員について。
監理団体側にすれば、いや実習生自身にとってもそうかもしれませんが、
そりゃ、同胞の駐在員がいるのといないのとでは、
大きな違いがあります。
しかしながら、日本国内においての適正監理の責任は、
監理団体側にあって、送り出し側にあるものではありません。
同時に、この駐在員たちのコストは、誰が支払っているのでしょうか。
出所を考えれば、この業界、受入側か裏での実習生からの借金しか、
カネが出てくる場所はありません。
一つ一つ、丁寧に突っ込んでいけば、
相当に様々な裏事情があるものです。
同時に、ミシュランガイドは、
冒頭に懸念したように、
ある意味、新たな利権ともなりえます。
(ココは直接批判になりかねないので割愛させていただきます)
もちろん、そういう利権を狙っての意図ではないにせよ、
そういう目で見られることも付きまとうものです。
おそらくは、斡旋などすることなく、
あくまで決めるのは当事者であるとされるように思われますが、
これらに取り組むにあたっても、
霞を食って生きてはいけない以上、
どこかにキャッシュポイントを生むことが考えられます。
これらが、どういう仕組みとなるか。
いやいや、どこかでどなたかのお気持ちのあるスポンサーがいらして、
監理団体や送り出し機関という直接の利害関係者に頼ることなく、
中立を貫いていけるものであればなによりです。
(ホントに決して皮肉ではありません)
さらに、現実は、色々様変わりしていきます。
ある送り出しでは、あるスタッフが裏でキックバックを実習生たちから求めていたとして、
その確認が取れた時点で、クビにした送り出し機関の経営者もいます。
その経営者の経営責任と言えばそれまでですが、
全てを一つの失敗もなく事業運営ができているところなど、
一つもありません。
ココが、断面的に、取り上げられたとすれば、
キックバックを求める送り出し機関と判断されることでしょう。
でも内情をちゃんと見れば、
それは、キックバックを取っているスタッフを自ら浄化できる経営者が
真摯に取り組んでいる送り出し機関であるとも見えます。
また、
日本人の役員や日本語教師や事務対応の責任者がいたとしても、
結局、経営者の悪癖を知るにつれ、嫌気がさして、
時が過ぎたら、違う送り出し機関へ移り変わっていたなど、
現地ではあるある話です。
そう、言い出せば、キリがないのが現実です。
そして、そんなことを言い出せば、何もできないのも現実です。
重ね重ね申し上げますが、
本当にお気持ちはよくわかりますし、
考えつくところが同じであっても、
実際にチャレンジしていく姿勢は、本当に素晴らしいと思います。
事実、応援したいくらいです。
でも、個人的には、
そんなこんなで、ミシュランガイドの整備は断念した経緯があります。
ちなみに、監理団体の評価サイトについても同様です。
なんなら受入先の評価サイトについても。
もう一つ、ミシュランガイドと同様に、
食べログ的に、様々な自主的コメントをスレッド的にも、
載せられる口コミサイトの創設も考えたことがあります。
ただ、コチラも、
日々の昼食や夕食を取る先というフランクで継続性のない食事というカテゴリーや、
例えばヤフオクやアマゾン、楽天など物販系の一回限りで問題ない取引、
一度騙されたら、良い勉強だったと言える程度のコストや失敗であれば、
十分機能するものではあると思いますが、
扱うモノが『人』であるがゆえに、
一度きりではなく、一度提携したら、少なくとも3年以上に渡り取引が続く前提であり、
さらには、重要な点で流動的な面が多くあり、確実性を継続的に担保できない以上、
それは、あまり適切な評価サイトになりえないリスクが
個人的には、小さからずあるように考えてしまいました。
力不足にて現在も、これらを踏まえて解決する手法にたどり着けてはいません。
実は、私たちも、評価格付けサイトでは全くありませんが、
先月、インドネシアへ実際に視察へ赴き、
それぞれ視察してきた先について、
主観的ながらも、色々会員(有料無料含む)の方々へは、
お知らせしてきました。
そこにおいても、これらのリスクは全く同様ですので、
あえて当事者責任にてご判断くださいとしています。
その意味では、同じといえなくもありませんが、
評価格付けを継続公表するという性質は持ち合わせてはいません。
色々述べはしましたが、
広く一般的には、大変参考になるサイトではと思われます。
関係者も、
色々と悩み、熟慮されて取り組んでいらっしゃるようにも思います。
でも、どこまでも、選び実際に提携するのは、
自分自身であるということを、忘れないでいただきたい。
当然、私も含めた全ての発信サイトの情報は、
自身の責任において一材料とすべきことも、
十分、ご理解いただいたうえでの、ご参考にされることを
くれぐれもお伝えできればと思います。
オマエがこう言っていたからじゃないかと言われても、
責任は誰も取りようがないからです。
もしその設立当事者が、コチラの内容をご覧くださっていたならば、
どうか、単なる批判ではなく、建設的に考慮すべき内容と、
お受け止めいただければと願うばかりです。
また本文は、当事者含め、応援なさっている方々の、
ご気分を害す内容であるやもしれません。
決して取り組んでいる行為に、
冷や水をかけたいからのコメントではない意図にて、
どうか平にご容赦願います。
じゃあ、オマエはどうなんだと言われるとしたならば、
現時点での私の個人的な答えは、
どこまでいっても、『どこ』と付き合うかではなく、
『誰』と付き合うかです。
格付け?評価?ランキング?
『いい送り出し機関』とは何をもって示すのか。
関係者の想いが、適切に世に出て評価されることを、
願ってやみません。
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