外国人労働者(技能実習生)のトラブル時にこそ関係者の資質が問われる

仲間

たまには、リアルなやり取りも書いてみましょう。苦笑

先日、フィリピンのマニラの空港近くで、
火山が噴火し、多くの渡航者に影響が出ました。

たまたまですが、お付き合いくださった方が巻き込まれ、
全日程をリスケジュールするハメになり、
てんてこ舞いさせられています。

コレはなにも当日飛行機が飛ばなかったコトに巻き込まれた方だけでなく、
翌日以降、今なお帰国する人、面接で飛ぼうとしていた人、
日本へ来る予定だった人、またその周辺の関係各者、
全てを巻き込んで、大変な調整が必要になっています。

かくいう私も、たまたまですが、
抱える少ない支援案件のうち、
一件はまさに久々に途中帰国案件。
(途中で一時帰国案件に変化)
そして、面接予定案件。
さらに別件では、入国案件。
コレ等を全て再確認することになりました。

フィリピン関係者は、ほぼほぼ全ての予定を再確認し、
リスケジュールさせられた方々がほとんどです。

たとえば、途中帰国案件。
10日に『もう限界です。体調がやはり芳しくないので帰ります!』と私宛に連絡有。

(職場で指導員に相談しても言葉が通じないとして、私に連絡して相談しろと指示をされたとのこと)

『わかった、すぐに帰れるように色々調整する!』

(個人的な考えであり、ケースバイケースでもありますが、
 基本的にこういう際は、頭から相手の意見を全否定しない方がよく、
 いったん肯定的に受け止めましょう。
 意見をズラすのは、少しでも落ち着いてからです。)

『社長には連絡した。理解してくれている。』

(この子は以前から体調を崩していて、前々から通院しながら、
 頑張ろうとし続けていた数カ月の背景があるので、理解の許容はできていた。
 受入先任せのみならず、たまに私も通院同行していた。)

『ただし、エアチケットを自分で取るのはちょっと待て!』

『良かったです、言われなければ取ってました。
 アナタが本当のボスだと思っているので、アナタから言われることに従います。』

(大変手前みそながら、幾度となく彼のトラブルを解決してきたので、
 彼の信頼は、受入先ではなく、私にあるようになっていました。汗
 さらに、こういう子はナニジン問わず、帰るって言ってきたら、
 もうすぐにでも帰国することしか考えていませんから。)

『日本側も、フィリピン側も、様々な手続きがあり、コレ等をちゃんとしないと、
 結果、アナタが困ることになる。
 特に、自分さえ良ければ、周り(受入先をはじめ組合、送り出し)に
 迷惑はいくらかけてもいいなんてワガママは、
 子供のすることであり、嫁と子供を持ついっぱしの大人としたら、
 ちゃんと周りのことまで考えて、数日待ちなさい。私が交通整理するから。
 ちょうど三連休だし、手続きの確認などできないから、
 13日に私が行けるから、そのときに色々直接打ち合わせしよう。』

(ちなみに、彼の持病?は緊急性を要しないし、クリティカルでもなかったので。
 そして、以前のトラブルの際、
 アナタは大人なのか、子供なのか、この先、どこへ働きに行っても、
 ワガママに周りとトラブルばかりおこして、怒りの絶えない人生を生きていくのか、
 それとも、周りと支え合って互いに笑顔で生きていくのか、
 職場も家庭も同じだから、嫁や子供に心配ばかりかけて、
 ケンカだらけの人生を歩んでいきたいのか、乗り越えて行ける大人になりたいのか、
 励みと自尊心をくすぐる指導が届いた子だったので。)

・・・12日、火山噴火、空港閉鎖。

13日…
『良かったね、急いでエアチケット取らなくて。苦笑』

『帰るのはまったくかまわない。
 アナタの健康は、アナタとアナタの家族が心配することであり、
 私はもちろん、受入先側としても、心配しても、
 結果、アナタの人生を背負うことはできないから、
 無理をさせる考えは一切ない。
 むしろ、自分の体は自分で守らねばならないので、
 自分で帰って治療に専念すると決めたならば、
 その意思を尊重する。
 残念だが、致し方ない。
 そういえば、ちょうど3年目(2回目)の技能検定の申し込みをするところ。
 (今、ビザ更新が無事に終わり、ちょうど3年目が始まったばかり。)
 コレに合格すれば、技能実習としてプラス2年、技能実習として日本で稼ぐことができる。
 残念ながら、コレも受けず、帰る場合は、その選択肢はアナタにはなくなる。
 また、最近言われているように、日本では特定技能というビザもできた。
 ただし、コチラの場合は、3年間の技能実習が無事に修了した人しか資格が得られない。
 現時点で帰国し技能実習を修了する場合は、
 この特定技能の選択肢もアナタにはなくなる。
 分野毎の試験を受け、合格すれば、別に問題ないけど、試験が嫌なら難しいかな。
 もちろん、会社で2年間は頑張ったという在籍証明は渡してあげられるよ。
 でも、3年間の技能実習修了証書は発行できないから、それは理解してね。
 
 ただし、アナタがもしコレ等の選択肢を望むならば、
 例えば約一カ月ほど帰国して治療に当たり、その状況次第で、
 ある程度回復できて、自分でもう一度戻ってきて、
 せっかくだから、技能実習を3年無事に終了したとの証明を得たいならば、
 受入側が許容してくれるなら、その線でも大丈夫だけど、
 どうする?
 回復がままならなかったら、そのまま一時帰国→途中帰国で終了でも構わないよ。』

『ならば、終了はやめて、大丈夫そうなら、もう一度日本へ戻ってきて、
 最後まで、技能実習の契約を満了したいです。』

『わかった、じゃあ、受入先側ともその方向で相談してみるね。』

。。。かくして、彼は、途中帰国から一時帰国へと考えを修正することになりました。

同時に、

『エアチケットについては、少し待ちなさい。
 (13日午前中の現時点では)情報が飛び交っていて、
 せっかく取っても、振替の保証までは私にはわからないし、私が保証できるわけじゃない。
 また噴火するかもしれないとニュースで言われているし。
 それでも言い出したらキリがないから、
 せめて数日、空港や航空会社からの確定情報が出てきた後、
 14日にも関係各所にこの方向性で問題ないのかどうか、
 手続きの方法なども確認する時間が欲しいから、
 もう2,3日は待ちなさい。
 見通しとしたら、17-21日辺りで帰国する予定で考えておきなさい。
 最終的に、見通し通りにエアチケットを買えるなら買っても良さそうであれば、
 その旨の指示をするから。』

『はい、わかりました。指示があるまで、エアチケットは買いません。』

・・・

14日。

『ジェットスターは13,14と飛ばなかった。
 セブパシやフィリピン航空(PR)は無事に14日は飛んでいる。
 優先順位的に、ジェットスターはやめて、セブパシで帰ることをお勧めする。
 そのほうが、振り回されずに済むから。
 もしエアチケットが取れたら、そのフライトスケジュールを写メで報告しなさい』

『ありがとうございます。エアチケットが取れたら、
 指示通りに報告します』

ざっくりですが、こんな感じのやり取りが、
この数日の間にありました。

特に私の場合、カタコトイングリッシュで、
フィリピン人とはSNSで話ができるので、
そのやり取りフォローもあります。

でも、感じていただければと思いますが、
私個人が、入り口から一貫して、
彼のハートをきちんとグリップし続けてきたことが、
ずっと向き合って、適宜、コミュニケーションを図り、指導してきたことで、
彼からの信頼を勝ち取れているからこそ、
こういったハンドリングが利いて、
こういう流れになっています。

こういう事例を挙げると、
聞こえてくるのは、

・直接技能実習生本人とコミュニケーションが図れない。
 それほど彼らの日本語が上達してない。
 通訳を介すと、オンタイムで都度都度の会話がスムーズにできない。

・ただでさえ、何社も抱えて、何十人、いや100人、200人、300人を担当しているのに、
 そんな一人一人の細かい対応などできるワケがない。

・それは受入先(監理団体)が、対応すべきことなんだから、
 ナゼ、自分がそこまでやらねばならない。

などなどの言い訳が聞こえてきそうです。
別に、私と同じようにケアする必要もなく、
こういう事態においても、問題なく、
関係当事者全てを、笑顔で感謝があふれる結果を導き出せれば、
それで構わないのです。

*前述の流れについても、監理団体内、
 送り出し担当者、無論、受入先の意思決定権者、技能実習指導員、生活指導員、
 全ての関係当事者と話をし、事情や背景を説明し、
 協力を仰ぎつつコトに当たっています。

もしかすると、人によったら、
私の対応は適正ではなく、もっと良い選択肢を提示できたのかもしれません。

背景や登場人物の詳細を描ききれるものでもないので、
わかりにくいのかもしれません。

でも、言えるのは、
受入先の社長も、指導員をはじめとする各スタッフも、
監理団体内の関係当事者も、
送り出し機関の関係当事者も、
本人も、本人とともに来日して技能実習に励んできた同期の同僚も、
全員が、聞いてないとか、こんなはずじゃなかったとか、
そうならない程度の、想定を様々共有し確認しつつ進めているので、
変なストレスもなく、笑顔で感謝のメッセージが飛び交っています。

自分で言うのは、大変おこがましいのですが、
コレが、リーダーです。汗

率先して、イチバン事態について色々考えてどうあるべきかを定める。
俯瞰的かつ網羅的かつ関係当事者の諸事情を踏まえて、
どう乗り越えていくべきなのかを導き出し、
各自と必要十分なコミュニケーションを様々図りつつ、
物事を進めていき、安定したストレスのない現実へと導くのです。

もちろん、他の仕事もちゃんとケアしながらです。

こんなドタバタ劇の中でも、笑いや楽しみもあるし、
作れるし、
そういうコミュニケーションを意識します。
もちろん、今までの当事者間同士での人間関係や互いへの信用や信頼あってのことです。

伝えたいことが、100分の1でも伝わるといいなぁと思います。

追伸、
コレ、14日夜に書いたので、コレが掲載される頃には、
また少し答えが明確になっていたり、
もしくは、また諸状況が変わっていて、
臨機応変に対応しているのかもしれません。

ちなみに、私、偉そうに自慢気に書いてますが、
こんなレベルのことは、歴戦のプロの方々ならば、
お茶の子さいさいで立ち回っていらっしゃいます。
おわかりですかね?
コレ、決してレベルの高いコトじゃなく、
フツーのことですからね。

出来てない人は、自分はまだまだそういうステージであり、
スッとできるステージまで、もっと成長していけるように、
頑張ってくださいね。

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