技能実習制度がイチバン最大公約数的に人気があるのは、
ひとえに3年を縛り付ける制度だから。
この縛り付けるルール自体が良い悪いは、
一長一短あるので、ココではその是非は置いときます。
今回取り上げたい問題は、この技能実習制度(3年)に当てはまらない職種作業。
端的に言えば、どんな仕事でも認められているワケじゃないから
問題だということ。
特定技能の14分野も相当限られていますが、
技能実習も事実上、相当限られています。
最近、また、受入が不可能な会社からのお問い合わせがありました。
正直なところ、
現状での在留資格の区分では、
とてもじゃないですが、
外国人労働者の受け入れが可能な職種は、
相当限られています。
他の職種の方々が困るのは当然です。
ある意味、思いっきり不公平ですから。
なので、
どうしても就労系、資格系の在留資格では限界があります。
コレを無視して好き勝手出来ない。
働いてもらいたくても、例えまぁ一人二人ならバレなきゃいいでしょと、
軽い気持ちで働いてもらっただけで法令違反ってことです。
それでも、にっちもさっちもいかない会社は、
結局、イリーガルでも受け入れざるを得ない。
そこまで追い込まれている会社は、
自身の経営努力は棚上げしておいて、
法令違反であっても受入をして行く。
そうしないと、借金まで抱えた自分の事業が成り立たないから。
自分が追いつめられるから。
結果、アンダーマーケットが成立している。
だって、招聘に関わるコストや、
多少なりともの日本語や日本の文化、背景などの教育コストまで、
支払うことなく、
労働力が安く使えるのだから。
もちろん、業者に支払うコストも要らない。
イリーガルだから、社保や税金も全く要らない。
だから、
日本の法律など知ったことかという外国人ブローカーが現れ、
利用する会社が後を絶たなくなる。
なんか、売春みたい。汗
正直なところ、
良い悪い抜きにして、こういう現実が、
失踪者を止められない一つの大きな要因なのかもしれません。
それでも、
誰もが最初から法律を無視して会社経営している人ばかりじゃない。
むしろ、マジメに他人様の目を避けながら、
裏でコソコソ隠れて事業をしたい人ばかりじゃない。
そういうマトモな会社にとって、
イリーガルではない外国人労働者を合法的に受入できるのは、
身分系の外国人労働者の受け入れ。
いわゆる、永住者、定住者、日本人の配偶者など、
その身分において、日本国内に滞在を許可されている方々です。
3世までの日系人もその一種ですね。
(4世はあまりにも非現実的ルールなので外しました)
でも、この方々には、この方々のルールがある。
また、現実もある。
つまり、縛られているワケじゃないので、
転職は自由。
あぁ、受入ルートは、
新規招聘パターンと、
転職パターンと、
二通りある。
特定技能のように、特定の分野の各試験に合格せねば、
職業の選択の自由が得られないのに対して、
また、それでも14分野しかないのに対して、
極論、風俗産業であっても、働けることすら可能ともいえる。
技能実習のように、期間限定ながらも縛りがなかったら、
逃げられる…
そういう考え方しかできない経営者もたくさんいます。
いや、受入れの為の初期コストを負担する受入側にとっては、
転職を許されてしまうと、
そんな背景や事情など考えもせず、10円でも高い給与先へと、
入国後すぐに失踪していく外国人労働者のコトを考えれば、
ある意味、当然なのかもしれません。
でも、自社の事業内容が、
そもそもその受入を可能とする職種作業でなければ、
技能実習云々を言う以前の問題。
そう、受け入れ手法は何であれ、
本当は、その背景に負けない求心力を身につけることが
とっても大事。
求心力さえあれば、
自然と口コミで労働者が集まってくれば、
会社側が労働者を選ぶこともできる。
(かつての時代のように)
逃げられる心配の必要もない。
どうやって求心力を身につけるか。
コレ、マーケティングと同じ。
どれだけ、外国人労働者側の立場に立って、
現実を知って、それらを踏まえてどう自社を整備し、
喜んで働きたいと思ってもらえるかどうか。
…また話がそれる…汗
要は、就労制限に様々引っ掛かる場合、
色々対策を練って、
身分系と言われる外国人労働者に頼る選択肢しかないってことです。
いやあ、そもそも日本人だってたくさんいますから、
日本人が働きたくなる会社にすればいいだけですし、
日本人の方が価値観も共有しやすいし、
なにより言葉が通じますので、
求心力は作りやすいんですけどね。
根っこの深い部分で、
こういう理解や認識に向き合えない限り、
ない物ねだりをひたすら続ける世界。
自分で納得するまで、安近短の手法を探し求め、
自分の気が済むまで、悩み続けて、
そもそも事業を続けるべきか否かまで考える。
そうやって、苦労し悩み苦しみ、
それでも乗り越えてやっていく決意を持てる方々だけが、
経営者として生き残っていく。
外国人労働者の受け入れという世界は、
本当に、自分自身を見つめなおす良い機会を与えてくれます。
まぁ、何はともあれ、
就労制限のない外国人労働者を受け入れたいというニーズは、
静かに広まっていくことでしょう。
そもそも特定技能や技能実習ほどには、
ややこしくはないところもあるので。
ちなみに、以前、4世の受け入れがあまりに形骸化していて、
法整備した意味がないコトからも、
緩和の見直しで進んでいるという話題も以前あったことを覚えています。
どう転がっていくのかは、お役所の担当している方々しか読めませんが、
そもそも人口ボリュームが一定の経済力の礎となっているならば、
日本国としても、ソコソコの人口維持をもくろむために、
あの手この手ならば、
いつの日なのかはともかく、
こういう身分系の緩和も実際にスタートするかもしれません。
そこまで待っていられる会社であれば良いのですけど。
そう、タイトルに書いた通り、
就労制限のない在留資格を狙いたいニーズは高まっていくばかりでしょう。
残念なのは、
一定のハードルを越えさえすれば来日できるものではないので、
在庫(失礼)が無尽蔵に増えることは、そうはないのが問題ですが。
(まだ技能実習や特定技能のほうが、在庫(度々失礼)はありますから)
注:いつも「仕入れ」だの「在庫」だの書いたりしますが、
あくまで便宜上、わかりやすい表現として使っているだけで、
本来は、人、人財を表現するにふさわしい言葉ではありません。
あしからず、ご容赦願います。
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