外国人技能実習生への監理指導は決まった担当者が継続的に寄り添うべき理由

問題解決

コレは特定技能でも同じことです。

組織の役割分担が定められている場合、
一概にそうできない方もいらっしゃるかもしれませんが、
基本的には、一人がずっと寄り添い続けるコトが一番望ましいと、
私は考えています。

私がお手伝いでかかわらせていただいている先で、
こういう問題がありました。

そこではAさん他、4名の実習生がいます。
全員、フィリピン人です。

先輩が2人、後輩が2人。

その後輩のうち、Aさんにちょっとした問題がありました。
問題というほどのものではないのかもしれませんが、
Aさんだけ、パッケージの梱包を手伝う作業の際、
納品する製品なのに、あのビニール幕をぐるぐる巻くときに、
どうも乱雑な時がある。

切り回しする際に、どこかへぶつけたり、
巻くのが均一であるように巻けなかったり。

また、
社長が見ている前では懸命に取り組んでいるように見せて、
ちょっと目を離すと、しゃべっている時が多い。

社長が細かいながらも気が付くことを、
自分がいないときに、日本人従業員に聞いてみても、
誘導尋問することもなく、同じことを報告してきた。

そもそも、そこでは残業があまりなく、
他の3名は別部署での実習のため、普段からさせられる残業があるものの、
Aさんだけは、配属先の部署が違うから、残業がない。
実を言えば、Aさんも別の部署(他の実習生が従事している実習)にて取り組んでもらう考えだったが、
やらせてみると、どうもセンスというか対応力が鈍いし、
長年見てきている社長から見て、とても務まらないと判断されたため。
もちろん、その時の判断も私も立ち会い聞き及んでいる。

そういえば、以前、同様の話を彼に助言した。
面接時の作業テストにて、ただ早いだけじゃダメ、
正確に丁寧に作業ができないと、意味がないと指導したことを思い出せと。
残念ながら、彼にはまだ届いていない、
彼自身が気付かないと意味がない話。

ちなみに、社長も私も彼は嫌ってはいない。
なぜならば、彼は頑張って仕事に取り組もうという姿勢は十分伝わってくるから。
ただただ、要領が悪い。

先輩も社長が言いたいことはわかっているので、
都度都度、彼にも注意してくれている。
でも、直らない。

コレ、一般的なフツーの会社では、
わかるまで言い続けろとなる。

この会社も同様。

でも、私はちょっと違う。

あまりに言い続け過ぎると、
フィリピン人は、自分はココでは働けない、帰るとなる。
それも、すぐにそうなる。

自分の、彼なりのプライドがあるのだろう。

我々に言わせれば、犬にでも食わせてしまえ的なくだらないメンツの話。

でも、彼にはそんなことすら理解できない。

私はどうしたかと言えば…

一通り話をすると、
彼はやはり、社長に嫌われているならば、帰ると言い出した。

私はそれはセルフィッシュ=利己的なワガママな考えだといった。

彼は違うという。

でも私は、こういう。

社長も私もアナタに帰って欲しいとは全く思っていない。

むしろ、アナタに成長してほしいからこんなアドバイスをしている。

私たちはアナタを信じている。
今までのアナタより、もっと成長して行けると。

アナタは子供のように、社長が嫌っているワケでもないのに、
社長が返って欲しいなんて思ってもいないのに、
自分のプライドが許さないからと言って、

自分の都合で帰りたいのですか?
子供のように逃げ出したいのですか?

社長も私も、アナタを信じている。
アナタならば、乗り越えられると。

ラッキーなことに、カタカナイングリッシュ程度ならば話せる私は、
拙い英語力を駆使して、なるべく簡単な単語で、
わかりやすく彼に話し、我々はアナタを指導する責任を負っている。
それが技能の習得のみならず、
人として大人として成長してもらいたいから、応援することだ。
その後押しをすることだと。

彼とは最後に握手を交わし、
笑顔を見せてくれた。

問題はこれで解決するとは思わない。

それでも、こうやってできる限りのことを伝えていく。
彼に届く言葉で、心に届くように、伝えていく。

どこかで、彼が気づいてくれることを願って。

コレ、フツーの会社では見過ごしていたり、
見つけられるほど目を配っていなかったり、
指導すらしていなかったりすること。

そして、見つけたとしても、ホカっておく場合が多い。
そんな一人ひとり丁寧に見てなんかいられないと。

でもね、そんな技能実習生に、一つ一つの製品に、
丁寧に取り組めなんて、上から言えますか?

自分が丁寧に面倒見ていないのに。

彼にしても、手前みそながら、
ずっと共に歩んできたからこそ、
定期的に足繁く様子を見に行き、
都度都度声をかけ、離れていても、
クリスマス、年末年始、困ったとき、
メッセージでもやり取りをしている、
なんなら寮にまで行き、たまにだけどバカな話もしながら同じ時間を過ごしている。

そんな私から伝える言葉だから、
彼も耳を傾けてくれる。
彼に届く部分もある。

コレがクレーム担当専門の職員だったり、
偉そうにシャシャリ出て来る上司だったりした場合、
彼や彼らが、心を開くと思いますか?

いや、そもそも、もっとほどけないくらいに絡まり合った挙句、
人が切れた段階で、初めて、さぁ、どうしようなんて職員もいるのかもしれません。

コレはあくまでも細かい部分では、フィリピン人への対応です。
ベトナム人、いやフィリピン人でもキャラが違う人へは、
微妙に対応する角度ややり方を変えます。

目を配る。
声をかける。
話をして指導する。

口で言うのは簡単ですが、
やり方は千差万別です。

お役所や法律は、こんなことまでケアできるはずがありません。

人は生き物であり、複雑です。
矛盾したことも平気で行います。

さすがに具体的なコトが言えないので、
上手く伝えきれていないところがあるかと思います。

でも、
こういう人間的な部分、
偉そうに先進国のいっぱしの大人を名乗っているならば、
社会の人生の先輩として、
ナニジンではあっても後輩たちを、
様々な点から育成し、導くことは当然の責任です。

何も監理団体という許可を得た団体に所属している常勤職員とか、
監理責任者講習を受けているかどうかなんて、
まったくどうでもいい。
月に一度訪問しているかどうか、
監査書類にチェックしてあるかどうかなんて、全くのナンセンス。

(文脈を読んでくださいね、法なんて守らなくていいなんて意味じゃないですよ。汗)

いくら仏をキレイに磨き続けていても、
その技術が上手になっても、
魂が入っていなかったら、全く意味はない。

このケースで言えば、
彼が自分の至らない部分に気づき、
周りにストレスを与えることなく、
笑顔で頑張って約束された実習を全うすることこそが、
win4allに他ならない。

神は細部に宿る。

God is in the details….って言うらしいっす、初めて調べてみました。苦笑

誰もが自分の都合、はたまた組織の都合もあります。
ですが、相手の都合や諸事情だってあるハズです。

偉そうに言ってる私自身、
くだらないメンツに意地を張っていた頃がなかったワケがありません。

その1点だけ、輪切って見て、是非の判断をしなくとも、
責任もって選んで招聘した人財であるならば、
キチンと育成するのが、当然でしょう。

私、もち屋ではないので、技術的な指導はトンチンカンで全くわかりません。

ですが、実はほとんどのトラブルは、
人間関係にあります。
特に意思疎通が十二分にできないコトから生まれるコトばかりです。

そして、
じゃあ、通訳がいればノープロブレムかと言えば、
それもまた決してそんなイージーな問題ではありません。

どこをゴールにして、自らが何にコミットメントして(責任を負って)いるのか。

私は、できうる限り、最初に約束したことを無事に全うすることを目指しています。

彼らは約束された3年間でちゃんと稼いで、成長して帰れるように。
受入側は、彼らがちゃんと3年間、彼らなりに頑張って実習に取り組み続けられるように。

私も含めた関係当事者全員が、互いに笑顔でありがとうと言い合えるように。

アナタはいったい、何に対して目の前の職務に取り組んでいますか?
それは、特に、誰の為ですか?

追伸、

当然、寄り添う担当者のレベルも問われます。
が、ぶっちゃけココにスキルや業界経験はそこまで必須ではありません。
いや、基本は体に触れないとか、人前で指導すべきではなく個室でマンツーマンで行うべきとか、
そういう部分は必要ですけど。
どちらかと言えば、人を育てるという確固たる想いが必要なのかもしれません。

追々伸、

「誰がために鐘は鳴る」
アーネスト・ヘミングウェイ

この映画のコメント欄に、
「他人の不幸に対する無関心への、思いやらないことへの戒め。」
というコメントを見つけました。

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