facebookページにてベトナムの送り出し機関で
日本語教育に取り組まれる方のお話です。
ベトナム人技能実習生の理想&現実
https://www.facebook.com/vietnamtechnicalinterntrainee/
日々の更新に埋もれてしまうのは、とてももったいなさすぎると思い、
勝手ながら転載させていただいています。
他にも色々ととても参考になるコメントが多数あります。
*ページ内に直接コンタクト取れるアドレスもありましたので、
ご関心ある方は直接コンタクトされると良いでしょう。
勝手に言ってしまっていいのかわかりませんが。汗
ぜひご一読ください。
2017.10.14
「教え子に必ずする話」
私は、約半年の間に、必ず教え子にする話があります。
*全て日本語で説明するので、N5ぐらい修了及び実習実施機関と契約書を結んだ子にします。
1.3年間での純利
実習生の大半は「日本で250万円~300万円稼げる」と思っています。
これ自体は間違っていません。
ただ、「稼げる=利益」ではありません。
ちょうど、昨日、説明したんですが、
月給
834円/時×8時間/日×22日/月=146,784円/月
残業
834円/時×125%×2時間/日×22日/月=45,870円/月
*残業の多寡・有無に関しては、バラつきがありますが、弊社のお客様の大半は2時間ほどの残業があります。仮にない場合も「手当」という形で補填してくださっています。
月額合計
192,654円/月
控除
家賃・保険・税金・水道光熱費=約5万円/月
*住民税は2年目以降高くなるので、高めに設定しています。
食費・雑費=約4万円/月
差し引き合計
102,654円/月
3年間の収入
3,592,890円
借金
出国までにかかる全ての費用(手数料、生活費、学費、食費、その他購入品)
約100万円
*バラつきがかなりありますが、手数料や出国までの半年の諸経費、出国時に色々購入する物品などの大よその総合計です。
差し引き
2,592,890円
家族への送金
5万円/月×35ヶ月=105万円
*仮です。
帰国前のお土産購入
携帯電話(自分、家族、親戚累々など)、パソコン、時計、化粧品etc
約50万円
3年後の実習生本人の財布の中身
約50万円~100万円
家族への送金分は祖国で、家族が貯金する可能性もありますが、当然、全額貯金にはなりませんし、家の購入資金に充てれば、全て消えます。
昨日は時給834円で計算しましたが、これ以下の地域に行く実習生のほうが多いです。800円を切るところも未だに多数あります。
2.日本で習得した「技術」がベトナムで役に立たない場合が多い
送り出し機関のスタッフ・教師の元実習生率の高さを考えても、日本で習得した技術と同類の仕事に就く実習生の数はあまり多くありません。
先日、帰国後のフォローアップ調査の結果が公表されていましたが、その数値でも関係ない職種に就く割合が一定数存在していました。
例えば、機械・食品加工・農業・建設など、日本とベトナムではやり方が異なり、そもそも使用している機械が異なる場合が大半です。
実習生は「日系企業で働きたい」と言いますが、それは関係がある職種という意味ではなく、単なる「日本」「給料が高い」というブランド力からきています。
*N3のベトナム人の日系企業での給与は決して高くありません。むしろ安いです。理由はN3保有者がたくさんいるからです。
3.役に立つの「金」・「日本語」
お金が役に立つのは言うまでもありません。
将来、日本語が役に立つという意識が希薄です。
仮にN3で日系企業の場合、350USDぐらいスタートです。上がってもせいぜい500~600USD程度までです。
それが、N2になると、600USDスタートで1,500USDまで上がります。
*1,500USDは私の元教え子の現給与です。経験やスキルで当然上がっていきます。
4.「残業がない」=「いいこと」
仮に残業が全く場合、帰国時の純利はほぼ0です。借金の返済、家族への送金、雑費で±0になります。
ただ、その代わり、時間があるので、必ず日本語を勉強し、「N2」を取るように強く言い聞かせます。
先に書いたように、N3とN2では生涯収入に大きな差が出ます。
仮に3年間残業0+N2と、残業たっぷり+N4の収入差は帰国後の3年ぐらいで埋まります。その後は開く一方です。
ベトナム人は目先の利益に執着しがちですが、若い彼らの帰国後の20~30年を考えたら、どちらがいいかは明白です。
ここまで話すと教え子は目が点です。
実際、この1年半で私がこれを教えた教え子たちのJLPT受験率は格段に伸び、合格率も高くなっています。
*直近2017年7月の試験でN3に49名、N2に5名の合格者が出ています。
入国後半年でN3に合格した子も10名ほどいました。
弊社初のN1合格もできそうな天才児もいるので、密かに期待しています。
12月の試験にも既に大半の教え子が申し込んでいます。
*申し込ませたというほうが正しいかもしれません。笑
監理団体さんや企業さんに私から直接依頼し、半強制的に申し込んで頂いています。笑
学生からは非難轟々ですが、将来必ず感謝するからと非難は受け付けていません。
夢を追うのもいいですが、現実に即していなければ、それは砂上の楼閣です。
現実を教え、その中で何ができるのか、どうしたらいいのかを教えるのも教師の仕事だと思っています。
教え子には明るい将来を生きてもらいたいですから。
【企業の皆さまにおかれましては、実習生たちはお金が稼げればいいんだろうという考えはそろそろ止めていただき、彼ら彼女らの長い将来を一緒に考えてくださることを強く期待致します。】
以上、私と同じく、一意見として受け止めていただくと宜しいかと思います。
ただし、ケチをつけるようで大変恐縮ですが、
こういった本当にまともな方がいても、
日本同様にその組織のトップが同じ気持ちを抱いていてくれているか、
その意識が組織全体に通じているかは別物です。
でも、それでも、こういう方がいる送り出し機関と提携すべきではないでしょうか。
監理団体側や受入企業側にも求められるハードルがありますが、
だからこそ、本当の意味で安定した戦力となることに、
ぜひともご理解いただける方が増えればと願ってやみません。
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