先日ご紹介した労働関連法違反のブラックリストと同じく、
対をなして公表されるのが、この違反割合結果の公表。
令和2年度 11 月「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表
キャッチーなテイストが好きなメディアは、
こぞって悪質な企業は7割を超えている!
ケシカラン!
なんて書き立てますが、
ちゃんと注目して欲しいのが、
この監督先の分母について。
先に紹介した資料にも、ちゃんと記載されています。
今回の重点監督は、
労働基準関係法令の違反が疑われる
9,120 事業場に対して
集中的に実施
したものです。
つまり、
そもそも、タレコミがあった先や、
先のブラックリスト先などに集中して、
臨検に回っているということです。
いつものことですが、
こういうキャンペーンにおいて、
お役人方の職質上、
「こんなひどい先があったので、こういった指導を行ってきました!」
などの『結果』を上げねば、
=「行ってみたけど、大丈夫でしたー問題なしです!」なんて『報告』は、
『お前はホントに仕事をしているのか?!』
って上司に見られて良しです。
その上司も、さらなる上層部に、
同様の認識や印象評価を受けてしまうので、
役所一丸となって、結果を出さねばならない宿命にあるものです。
結果、
最初から疑わしい先へ、集中して、調査に出向き、
弱い者いじめを繰り返す。
(いや、ダメダメな先は、権力を行使できる役所にしか指導できないので、バンバンやっていただきたいところです)
最悪なければ、勉強してくださいネとばかり、
重箱の隅をつつく「指導」をお土産にお届けしていくことになります。
つまり、
違反率的な数字は、高めの割合推移なら、
どうとでもコントロールできるのです。
同時に、
技能実習法などでもさんざん学びましたが、
重箱の隅をつつきだせば、
どんな企業であっても、違反先として指導ができるのが役所側の特権です。
つまり、こういった背景、諸事情を踏まえて、
この違反率を読み解くのがとっても大事。
社労士はもちろん、
業界人は特に、メディアに踊らされていてはいけません。苦笑
(けっこうな確率でいらっしゃるものですが…)
更に、
役所側が、どんなポイントに重点を置いているのか…の視点も、
忘れてはなりません。
・違法な時間外労働があった
・賃金不払残業があった
・健康障害防止措置が未実施
この3つに焦点が絞られている。
いつもながら過重労働チェックだから当然、
時間外労働は確認されますが、
基本的な36協定の締結の有無。
特別条項の設定、
会社側と従業員側との残業カウントの付け合わせなどを確認。
そして、
過重労働の考え方として、
賃金不払いもチェックされるということ。
割増賃金対象時間の確認。
未払いの計算と指摘。
もう一つ、
健康障害防止措置として、
年1の健康診断やストレスチェック、
5日以上の有給消化、
おそらくは、特別教育や特別講習受講の是非などが、
指摘事例に挙げられています。
前述に、弱い者いじめ…と揶揄して書きましたが、
一人以上でも労働者を雇用して入れば、
法を守らねばならないのは当然のため、
なんと、
30人未満の規模の会社への臨検が、7割近く。
法の詳細など、誰も教えてくれないものなので、
こういう監督キャンペーンは、
確かに、国としての注意喚起を、我が事のように、
意識づけてくれる教育効果は、高いのかもしれませんね。
また、不謹慎ながらオモロイのは、
監督指導先の従業員規模別としては、
なんと300人以上の企業先が3割とイチバン多いってこと。
ソコソコの事業規模に行きついているからこそ、
コストフルな様々な法令順守が不十分なのかもしれません。
コレ、私に言えるコトなんですが、
ホントに、ちゃんと読み込めていない人が多い。
読まない人が多い。
こういうのを、定期的にちょこちょこ読み込んでいれば、
極論、社労士も不要な世界なんだけど、
そんなに丁寧に読み込んでるヒマなんか、
ないくらいに、もっと考えねばならないコト、
やらねばならないコトが山積しているのが中小の経営者。
世の中の流れは、ますます中小企業には生きにくくなっていますね。
=外部のプロをいかにうまく活用できるかがカギではなかろうかと。
追伸、
違反先の全てが、即刻、行政処分されているのではないと思われます。
たとえ賃金不払いであっても、
意図しての詐欺行為でない場合、
指導による改善が素早い場合は、
正に、指導で終わるのでしょう。
そういう意味では、まだ優しい面がある行政行為なのかもしれません。
しかし…にわか知識で参入してきてる登録支援機関って、
新人さんって、こういう知識があって支援できているのでしょうかねぇ。。。
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