先日、話題に上がった「元技能実習生の入管申請時の経歴書」について、
ちょっと違う角度から掘り下げて書いてみます。
技能実習法によれば、
『監理団体には技能実習終了日から1年間、各種帳票類を保管する義務』があります。
ただし、
今度は個人情報保護法に照らし合わせてみた時には、
どうなのでしょうか。
機会があったので、久しぶりに「個人情報保護法相談ダイヤル」に
問い合わせてみました。
答えは以下。
Q.個人情報の保護の期間は、個人情報保護法的にはどうなっているのか?
A.個人情報保護法的には、個人情報の保管期間の定めはない。
あるのは、「記録簿」の保管期間だけ。
さらにこの「記録簿」とは、第三者への情報開示をした場合が対象となる。
また、入管など行政機関への提示については、第三者への情報開示とはならない。
つまり、リストの転売など、直接本人から依頼されてもいないのに、
第三者へ個人情報を漏洩する場合に限り、
「記録簿」を付け、その情報を保管せねばならないという定めはあるが、
ことこの「元技能実習生の入管申請時の経歴書」について言えば、
あくまで技能実習法の定める通り、
技能実習終了後、1年間、保管していれば、それでよい。
「お世話になった監理団体」や「実習実施機関(受入企業)」に行かない(行けない)場合、
他の登録支援機関や、別の受入希望先へ、
元技能実習生としての資格を活用して=分野毎の技能試験やN4合格を必要とすることなく、
特定技能ビザの申請をしたい場合については、
この経歴書の確認は必須です。
たぶん、ご覧くださっている方にしてみればご常置の通りなので、
なぜリスクなのかの説明は割愛します。
Q.保管義務ないし保管期間が無いのはわかりましたが、
こんどは個人情報を破棄せねばならない定めなどもないのでしょうか。
A.ない。
ただし、もし漏洩したり、トラブルがあった場合、
ナゼ保管をしていたのか理由を問われると同時に、
その安全管理違反?的な非難は、免れないことになる。
(なんか専門用語を言ってましたが、忘れました。汗)
Q.「元技能実習生の入管申請時の経歴書」を求められた場合、
そもそも、その問い合わせが業者からであっても、提供しても問題ないのかどうか。
A.あくまでも、本人の代理人としての情報開示請求であれば、
本人同様なため、問題ない。
まぁまぁ、そういう答えでした。
ぶっちゃけ、ずさんな書類管理先であったり、
逆に個人情報の漏洩リスクを防ぐために、
そもそも1年の保管義務期間を超えた情報は、
定期的にちゃんと破棄していたような監理団体には、
そもそも元技能実習生の入管申請時の経歴書は、
存在しません。
また、旧法時の保管義務ルールがあったのか忘れてしまいましたが、
そもそもないものはない。
ということは、
入管があくまでも「履歴的に一貫性がないと却下する姿勢」を貫いている場合、
どれだけ頑張っても「特定技能申請は通らないリスク」は消えないってことです。
ただし、
知ってか知らずか、評価調書がないので理由書で、
さらに「元技能実習生の入管申請時の経歴書」も確認が出来なかったけど、
申請してみたら通った…なんてケースも聞こえてきます。
どこまで本当かは定かではありませんが。
つまり、
行政のメンツの問題もあるのか、
特定技能の入国在留者を増やしたい天の声が働いているのか、
現実は定かではありませんが、
現時点では、
どこかの入管の書類チェック担当官のチェック漏れによるのかもわかりませんが、
通るケースがあるのかもしれません。
いずれにせよ、
少し気になったので、
個人情報保護法にもお問い合わせをしてみた結果でした。
まったく、
どこまでどれだけ丁寧な気遣いと確認をすべきなのか。苦笑
ひとりひとり事にあたっている、
現場の皆さんのご苦労を心から慮(おもんばか)ると、
本当に頭が下がります。
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